2007年12月29日。
午後1時発のCZで、遼寧省丹東市に初上陸。
北朝鮮との国境、中国最大の辺境都市である。
とても240万人都市の空港と思えないあまりの小ささに、さっそく面食らう。
岐阜の田舎の駅の方がよっぽど立派ではないか。
中央に並べられた植木鉢が何ともいえない哀愁を醸し出している。
市内行きのバスに乗り込み30分、鉄道の駅を越えた辺りで適当に降りる。
この時点で夕方4時過ぎ、空は早くも薄暗くなりかけている。
今回の旅最大の目的は、もちろん北朝鮮。
ぐずぐずしてたら日が暮れて、今日中に見られない。
急げ!北朝鮮の方向に向かって猛然とダッシュ。そして…
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
リアル北朝鮮、いま眼の前に!将軍様マンセー!!
この勢いで川沿いに停まっている遊覧船に乗り込もうとしたが、
あいにく今日はクローズ。それでもこの胸の高鳴りはなかなか収まらない。
…数分後、興奮が落ち着いてきたと思った次の瞬間、猛烈な寒さに襲われる。
「…寒い!!!」
寒いというか、痛い。顔や手や太股が痛くて、普通の速さで歩けない。
最高気温がマイナス何度という世界。十分に防寒装備してきたつもりだったが、
完全にナメていた。直前でマフラーを置いてきたことが激しく悔やまれる。
このまま観光を続けるのは無理、絶対に無理。
ガイドブックの地図を見ると、ここから宿泊先のホテルはそう遠くない。
タクシーに乗りたくて仕方がなかったが、意地で徒歩でホテルを目指す。
吹き荒ぶ寒風に耐えながら北東へ向かって歩いていると、
「テスコ」という外資系スーパーらしき店を発見。
これはデカい!何という幸運!
暖房の効いた大型スーパーで、防寒具一式を買い揃える。
モモヒキ:ジーパン1枚では太股が凍傷になる。恥ずかしいとか言ってる場合じゃない。
ニット帽:既に1枚被ってるが、万全を期してダブルで装着。
マスク:とにかく顔が痛い。吐く息が上手く還流して顔を暖かく包み込む。
スキーグローブ:手持ちの薄手の皮手袋が全く意味を成さない。これもダブルで装着。
何とかホテルに辿り着き、さっそくモモヒキを装着。(あったかい…)
一息入れて晩飯を食べに行く。
国境の川=鴨緑江沿いに、北朝鮮料理の店があるらしい。
北朝鮮料理の店は思ってたよりも少なく、またこの一帯は
押し並べてどこの店もあまり客が入っていない。
しばらく迷った末、「高麗飯店」という店に突入。
入り口にちゃんと国旗もある。
鴨緑江ビールで乾杯!これは新ブランドの「緑宝ビール」。
水が良いからだろうか、上海近辺のローカルビールよりクセがなく飲みやすい。
キムチ。韓国のキムチと何が違うのか?明確な線引きは難しいが、
ネットで調べた通り「韓国のよりも辛くない・薄味」というのは当たっている。
ここのキムチはよく漬かってて酸っぱく、また比較的薄味なので
酸味がより前面に出てて、個人的にかなり好みの味。
烤牛肉。注文してから出てくるまでの早さにも驚いたが、
この「スーパーの特売品を1パック買って来てそのまま炒めました」的な
庶民的なビジュアル!北朝鮮だからではなく、これはあくまで店の個性だろう。
味付けはプルコギ風。かなり甘めだが、なかなか行ける。
北朝鮮料理といえば、従業員による歌と踊り。
この店にもステージがあったが、ライブは既に終わっていた。
明日のリベンジを期して、タクシーでホテルまで戻る。
とにかく寒いので、これ以上街歩きをする気になれない。
明日の北朝鮮観察に備え、1日目はこれで終了。