気だるい土曜出勤から戻ると、中国人の友達から携帯メールが来た。
彼はちょうど家でご飯を作ってて、よかったら食べに来ないかという。
友達の家で食べる手料理ほど旨いものをほかに知らない。
古北でタクシーを乗り換え、虹橋方面の彼の家へ向かう。
家に上がった瞬間、食欲をそそる素晴らしい香りに迎えられる。
部屋にかかっていた音楽はミスチル。彼は日本語スーパー上級者だ。
正体はこれ。スペアリブをフライパンでグツグツ煮込んでいる。
香りづけに八角も入っている。なかなか本格的ではないか。
彼が外へビールを買い出しに行っている間
「上海申花×深圳」のサッカー中継を見ながら、火の番をする。
どちらも目が離せない。
友人、帰宅。ビールと一緒に買ってきた醤油を鍋に回しかけ、もう暫く煮込む。
「こんなもんじゃね?」汁が煮詰まってきたところで完成。
どうよ、このテリ!最後のわずか10数分火の番をしただけなのに、
あたかも自分が最初から作ったかのような、そんな愛着を覚える。
まぁまぁそんなわけで、乾杯!
このスペアリブ、なかなかいける。やや濃い目の味付けに、なにより
八角の使い方が上手い。同じような料理がそこらのレストランで出ると
たいてい五香粉の匂いが強すぎて萎えるものだが、今日のスペアリブは
八角がちょうどいいアクセントになっている。酒とも米とも相性抜群だ。
ピータン、久しぶりに食べると旨い!
包丁のキレはあまり良くないようだ。
ニラではなく、ニンニクの芽と卵の炒めもの。
見た目とは裏腹に(?)彼は何でも器用に作る。
しばらく飲んで食って語った後、もう一人の友人を誘って衡山路のバーへ。
今夜は「バー」というより「クラブ」の方、というのが大方の意見。
最初に訪問したのは、元「真愛」だった場所にある「MT」。いわゆるローカル系だ。
簡素な立ちテーブルで最低消費600元?なにそれ?
「土曜はどこもそうだ」と従業員は言うが、上海に来て1年9ヶ月、
どこのローカル系クラブでもそんな話は1度も聞いたことがない。
この店だけじゃないが、ローカル系クラブの業態って本当独特だな…。
MTを速攻出て、徒歩で「ザパタス」へ。
ザパタスは欧米のポップ中心で、いつ行っても選曲・曲順が変わらない。
それでいていつも混んでいる。みんなよく飽きないねぇ、と感心する。
…しかしよく考えてみると、そんなことを言ってる自分自身が
(他の大勢の客と同様)曲順を覚えるまで、そして覚えた後も
よく飽きないで何度もここへ来ているという事実。
今回ザパタスへ行こうと決めたのも自分だったりする。
みんな同じ曲が同じ順番で流れるのを「知ってて」来ているのだ。
いつものあの曲、そしていつもの「フリーテキーラ」!
結局この日は2時過ぎまでザパタスで過ごす。
翌日の昼過ぎ、「新元素」で飯を食べる。
メインは蒸した白身魚のプレートだったが、その前に頼んだトマトジュース。
これが「トマトをミキサーに掛けた」そのまんまの味。
市販のトマトジュースの「濃縮加工」的な要素が全く無い、フレッシュ極まる味。
今は街中にも野菜ジュース屋がたくさんあるので珍しくはないかも知れないが、
僕自身にとっては初めての体験だった。軽く二日酔いの昼にちょうどいい。
友人と別れ、中国語の学校へ向かう。
いつものことだが、遊び疲れている。