#北京突撃計画 |
北京行きの航空券を買ってきた。
来週の土日でオリンピックを見に行ってくる。
チケットは持っていない。
あわよくばを期待して、16日(土)の男子バスケ(or野球)、17日(日)の女子バスケを狙っている。
「あわよくば」の具体的な内容については、もちろんここでは詳しく書けない。
(女子バスケなら行けそうな気がしてるんだが、どうだろうか…。)
恐らく当日は僕と同じく多くの人間=チケット難民が競技場周辺を徘徊していることだろう。
実際にチケットを入手するのは無理だろうが、チケット難民すること自体
それはそれで一つのいい思い出になるのではないかと思っている。
まぁ、あまり無茶はせず、少しでも厳しそうだったら早めに諦めて
ホテルや食堂でテレビ観戦する時間を多めに取りたい。
いくら計画性のない僕でも、何の競技も見られる保証無しに
往復2,000元オーバーの航空券を買ったりはしない。
17日(日)朝スタートの女子マラソン。
金メダルを巡る熱い戦いを路上で、タダで、生で見られる。
出発までにコースと場所取りを徹底研究して臨みたい。
例えば日本から同じように土日で北京へ行こうと思ったら、相当なカネと労力がかかる。
また、4年後のロンドンなど、遠すぎて見に行こうという発想すら浮かばない…。
オリンピックを生で見る機会。実質的には、来週を逃したら次は無いか、
あってもその頃には「おじいさん」になっているだろう。それでは、遅い。
2001年・北京での五輪開催が決まったとき、僕は中国かぶれの大学生だった。
オリンピック初観戦=北京五輪生観戦は当時からの夢だった。
7年越しの、まさに「同一個夢想」である。
…いかん、まだホテル取ってなかった。
#チケットの相場(北京奥運会1) |
8月16日(土)。
朝8時15分発のFMで北京入り。ほんの1週間前に思い立った
「オリンピック観戦ツアー、ウィズアウトチケット」が始まった。
まずは首都空港の出口で「体育館マップ」を無料でゲット。
リムジンバスで西単まで移動し、直ぐさま地下鉄に乗り換えて「五棵松」へ。
狙いは最初からバスケと野球に絞っている。
五棵松の駅を出た直後、おっさんにいきなり声をかけられる。
「チケット余ってない?」
この人も僕と同じようにオリンピックを見たいんだろうか。
…いや、この怪しげな雰囲気。どう考えても「ダフ屋」としか思えない。
ネットのニュース記事には、競技場周辺は厳戒警備が敷かれてて
ダフ屋の姿は全く見られないと書いてあったが…。
周りを見渡すと、そこら中にいるではないか。それっぽい人が。
ものの一分も経たぬうちに、別のおっさんから声をかけられる。
「チケット欲しい?」
来た!ダフ屋確定。
あれほど警備が厳しい・現地入手は無理と言われてたのに、こうも
簡単にダフ屋に出会えるとは…行ってみなければわからないものだ。
この辺で暇そうにしてる人達はみんなダフ屋に違いない。
参考までに、次の男子バスケの値段をちらっと訊いてみる。
…え、2,000元?
冗談じゃない。開玩笑だね。
偽チケットを掴まされるかもしれないという疑念は拭えないものの、
とりあえずカネさえ出せばチケットが手に入ることはわかった。
ここで一旦その場を離れ、ホテルのチェックインを済ませて再び五棵松へ。
時間は午後1時前。
歩道の脇に座っている、年季の入ったおばちゃん。
ここいらで情報収集でもしてみようか。
おばちゃんの隣に仲良く座り、じっくり話を聞いてみる。
男子バスケは、全競技の中で最も見たい。
次の試合=2時半からのリトアニア×クロアチア戦は1枚1,200元程度。
ちなみに、この日午後8時の中国×ドイツ戦は…何と10,000元!
姚明、易建聯ら国民的スターを擁するバスケは、サッカーを抑え
中国で最も人気のある球技と言っても過言ではない。加えて、
相手国はNBAのスター選手・ノビツキー率いるドイツ。
実力も拮抗。中国人ファン垂涎、予選屈指の好カードだ。
じゃぁ、予選リーグ全日程における最高のカード
=午後10時のアメリカ×スペインは?…これも10,000元。
雪辱に燃えるドリームチーム・アメリカと、06年世界チャンピオンのスペイン。
中国戦と同じ値段なのか…まぁ、ここは中国だからね。
「どうせ試合開始間際になったら安くなるんでしょ?」
多少からかいながらこの手の発言を繰り返してると、
おばちゃんの表情が徐々に強ばってきて、遂には険悪なムードに。
「あんたみたいな人には売れないわよ。」
ちょっと図に乗りすぎてしまった。
まぁ、10,000元が5,000元になったところで、中国戦とアメリカ戦は到底無理。
2時半のリトアニア×クロアチア、あるいは4時45分のアルゼンチン×イランを
試合開始ギリギリまで粘って安値で買い叩く…この作戦で行こう。
しばし「チケット難民」の観察。
英語と中国語のメッセージを掲げて、
野球のチケットを求める日本人が目立つ。
この日の野球は因縁の対決・日韓戦。
ダフ屋のスタート価格は1,000元〜800元。
みんななかなか手が出せないでいる様子。
試合開始が近づくにつれ、競技場周辺を右往左往する人々が増えてゆく。
あからさまにチケットを見せびらかして客引きをするダフ屋も多い。
公安もいるにはいるが、明らかにマンパワーが足りてない。
そして、試合開始が近づくにつれ、チケットの値段も徐々に下がっていく。
最初1,500元とか1,200元だったのが、試合開始2、30分前には1,000元を割り800元程度に。
まさに目論見通り。1秒ごとにチケットの価値が下落するのを肌で感じる。
粘り強く歩道を歩くこと何十往復。
試合が始まれば紙くず同然。
ギリギリになれば叩き売りが始まるに違いない。
そこでまんまとチケットをゲット、
ダッシュで会場入りして夢のオリンピックへ―。
ところが、ここから全然値段が下がらない。
試合10分前になっても5分前になっても、800元で高止まりしている。
200元で買うと言っても鼻で笑われるだけで、全く相手にされない。
だがここで300、400と買値を上げていったら、逆に彼らの思う壺だ。
こちらの「買いたい」オーラが透けて見えてしまう。
驚くことに、試合が始まってもまだ800元。
焦って叩き売ろうとするダフ屋は一人もいない。
いったいどうなってるんだ…。
考えてみれば、チケットの原価などたかが知れている。
安易に値段を崩してその噂が広まれば、商売のうまみが全くなくなる。
たとえ何枚か握りつぶしても、高い価格トレンドを維持する方が
トータルで利益が出る。悔しいけど、そういうことのようだ。
今はあくまで様子見。
リトアニア×クロアチアは諦めて、4時45分のアルゼンチン戦に賭けよう。
前回アテネで金メダルのアルゼンチン!あの「マヌー」に会える!!
…事態が刻一刻と悪化しつつあることに、
この時点ではまだ気づいていなかった。